top of page

【コラム】:カスタムと車検 保安基準の「線引き」と正しい向き合い方

車をカスタムする上で避けて通れない「車検」。しかし、なぜカスタム車両は車検を通すのが難しいのでしょうか。その答えは、保安基準というルールと、現場での判定の難しさにあります。

1. 1mmが分ける合否の境界線

車検の基準である「保安基準」には、明確な数値が定められています。理論上は、その数値を下回れば合格、上回れば不適格という明確な線引きがあります。

しかし、現場では非常に繊細な判断が求められます。例えば寸法を測る際、機械ではなく最終的に計測するのは検査官の目です。「1mmの差で合否が分かれる」というシビアな世界において、計測場所や角度、検査官自身の判断が合否を左右することがあります。極端に危険な形状であれば論外ですが、基準ギリギリのラインにある車両の場合、検査官の判断が大きく影響するのもまた車検の現実なのです。

2. ディーラーと認証工場の判断基準

ディーラー(指定工場)は、メーカーのグループとしての信用を守るため、安全性を保証できない社外パーツ装着車に対してはリスクを回避する姿勢をとります。これは店舗を守るために必要な防衛策です。

一方、多くのカスタム車両を受け入れている「認証工場」は、他メーカーの整備経験が豊富であり、保安基準の更新情報を常に追いかけ、基準ギリギリの車両でも「どうすれば保安基準に沿って合格できるか」という視点で判断してくれる心強いパートナーになり得ます。

3. 「車幅変更」という手続きの考え方

「車幅が20mm増えたら車検に通らない(=違法)」といった都市伝説を耳にしますが、決してそのようなことはありません。実車の寸法が車検証と異なるのであれば、適切な採寸を行い、車検証の記載内容を実際の数値に変更(記載変更)すれば良いだけのことです。正しく手続きを踏めば、胸を張って公道を走行できます。

4. オーナー自身が「知識」を持つことの大切さ

現在の日本の車検制度には、地域や検査官によって合否が分かれるという矛盾も存在します。部品メーカーである私たちも「保安基準に沿った設計」を心掛けていますが、車検を保証することはできません。

だからこそ、車仲間からの噂や情報に依存せず、オーナー様自身が保安基準という「線引き」の中身に少しだけ興味を持ち、学ぶことが大切です。正しい知識を持ち、保安基準を理解した上でカスタムを楽しむこと。それこそが、安心して自分好みの一台を作り上げるための最大の秘訣です。

bottom of page